園芸の用土
5月に入ってから暫く寒い日が続きましたが、
木曽谷の野山も爽やかな新緑の季節ですね。
さて、この時期はガーデニング好きの方にとって忙しくなる時期でもありますが、
皆さんは園芸用の「土」をどんなふうに使っていますか?
◆用土の種類
市販の用土には様々なものがあって、
どれを買ったらよいか迷ってしまいますよね。
市販の用土のうち、主なものを挙げてみると
「鹿沼土」「赤玉土」「軽石砂」「富士砂」「桐生砂」「蝦夷砂」などなど、
たくさんの種類があります。
さらに、それぞれの用土には、小粒、中粒、大粒などの分類や
上質、硬質などの種類もあって一層ややこしくなってしまいます。
◆鹿沼土とは
栃木県の鹿沼市周辺から産出される土で、
赤城山の噴出物が堆積したものです。
ペーハーが弱酸性で、ツツジ科の植物など
広く一般的な用土として知られています。
硬質鹿沼土は、やや硬めであるため形状が崩れにくい特徴があります。
保水力や通気性に優れていますが、経年変化しやすく
長期間使い続けると微塵(粉状)になり易く、通気性が損なわれます。
使用する場合は単用を避け、
他の用土(崩れにくいもの)との併用がお奨めです。
なお、弱アルカリを好む植物の用土には適しません。
◆赤玉土とは
いわゆる「赤土」であって、どちらかというと粘土質ですから、
通常は植物の栽培には適さない土ですが、
形状を粒状にすることで通気性を高めてあります。
肥料持ちも良く、多くの植物栽培に用いられますが、
鹿沼土と同様に他の用土と混合して使う方が良いでしょう。
赤玉土には、高温で焼き固めた粒状の「焼赤玉」という用土もあり、
優れた通気性と保水性があります。
焼赤玉を混合することで、長期間通気性を確保することができます。
◆軽石砂とは
火山帯の噴出礫で軽くて硬く、また、通気性や保水性も良いのが特徴です。
大粒のものは栽培用土の下部に入れるゴロ石として使うほか、
中粒や小粒のものは鹿沼土や赤玉土に混ぜて使う方法が一般的です。
混ぜる量によって通気性を調節できます。
なお、コマクサ栽培では軽石砂の小粒を単用することで成績良く作れます。
◆蝦夷砂とは
北海道の火山噴出物で、鹿沼土に比べ崩れにくいのが特徴です。
園芸店に出回っていることが少ないため、手に入れにくいのが難点。
小粒と中粒を適度に混ぜれば、ほとんどの植物に使用できますから
優れた用度といえます。
◆その他の用土
富士砂は富士山域の溶岩砂で、硬く重いのが特徴です。
通気性に優れているほか他の用土に混ぜ込んで排水性を高めたり、
用土表面に敷き詰めて泥はねを防ぐ目的で使用することもあります。
また、色が黒いので草姿の見栄えも良くなります。
桐生砂は、群馬県で産出される火山灰土で、硬く重いのが特徴です。
桐生砂も他の用土に混ぜて保水性や通気性を高める目的で使います。
◆栽培用土の基本
植物を栽培する上で用土の選択は大切な要素ですが、
この用土でなければダメ!といったことはありません。
重要なことは、通気性、保水性、排水性、肥料持ちなど、
その植物に合った環境を提供することと、
水やりや施肥など自分が管理する場合のタイミングを考慮した
「土選び」をすることが成功の秘訣なのです。
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一輪草と二輪草
木曽谷では中部でもようやく桜が咲き始め、
いよいよ春爛漫の風情となりました。
樹木の花ばかりでなく、
ちょっと足元に目をやれば早春の花たちの競演が始まっています。
日当たりの良い沢筋の土手や、山麓の斜面では
一輪草や二輪草の可憐な姿が・・・
◆自生地
一輪草も二輪草もキンポウゲ科の多年草で、ほぼ同じ時期に開花します。
どちらも群落を形成していることが多く、時に混生していることもあります。
ただ、木曽地方北部では二輪草の方が圧倒的に多く見られます。
自生地は明るい雑木林内や沢筋の斜面などで、
水分の多い比較的肥よくな土壌を好む傾向があるようですが、
二輪草は乾燥ぎみの尾根筋や北向きの斜面などにも見られることから、
適応範囲は広いと言えます。
◆名前の由来
一輪草は名前のとおり、花が一輪だから一輪草。
一方、二輪草は花が二輪咲きます。
(うーん、分かりやすい!)
一輪草は、一華草(イチゲソウとか単にイチゲ)とも呼ばれます。
この、「イチゲ」という名前の付いた草は他にもたくさんあって、
たとえば、キクザキイチゲ、アズマイチゲ、ヒメイチゲ、ハクサンイチゲ、
などが良く知られており、いずれもキンポウゲ科です。
◆毒草はどちら?
キンポウゲ科の草には毒素を含んでいるものが多く、
山菜などとして採取する場合には注意が必要です。
一輪草は毒素を含んでいますから食べられませんが、
二輪草には毒素が無いので食べられる山菜として知られています。
ただし、二輪草は一輪草やトリカブトなどと混生していることもありますから、
見分けに自信がない方はご用心あれ。
幸い、木曽地方では二輪草を食す習慣があまりありませんから大丈夫かも・・・
◆◆野山を散策するのに絶好の季節となりました。
天気の良い日を選んで出かけてみませんか?
この時期はまだ木々の芽吹きも始まっていませんから、
林の中も見通しが良くて新しい発見があるかもしれません。
小鳥たちの姿もとらえやすいですから、バードウォッチングにも最適。
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似てるけど違う、アヤメとカキツバタ
◇◇ 似てるけど違う、アヤメとカキツバタ ◇◇
『いずれアヤメかカキツバタ』と言われるように、
両者は非常によく似ています。
ところが面白いことに、これらには歴然とした違いがありますが、
皆さんはお分かりですか?
◆アヤメの仲間
アヤメの仲間にはいろいろな種類があります。
アヤメは漢字で「菖蒲」と書きますが、
「菖蒲」はショウブとも読みますよね。
でも、ショウブはミズバショウなどと同じサトイモ科の多年草で
アヤメ科ではありません。
ショウブの花は、アヤメのそれとは似ても似つかぬ姿をしています。
ショウブは良い香りがするので、
端午の節句などには「菖蒲湯」をたてたりしますからご存知の方も多いはず。
一般的にショウブと言っているアヤメ?は「ハナショウブ」で、
漢字では「花菖蒲」と書きます。でも、ハナアヤメとは誰も読みません。
アヤメとハナショウブの花は形がそっくりですから区別は難しいですね。
一方、カキツバタもアヤメ科の多年草で、
漢字では「杜若」とも「燕子花」とも書きます。
カキツバタもハナショウブと同様に、
花はアヤメそっくりで、見分け難いものです。
さらに、アヤメ科にはシャガ(著莪)やイチハツ(一初)をはじめ、
外国からの園芸種(ジャーマンアイリスなど)を含めると、
とても種類が多くて簡単には覚えられません。
◆アヤメの特徴
アヤメは水辺の湿地帯などに生えていると思っている人がいますが、
実は比較的乾燥した丘や草原などを好み、湿地帯には見られません。
アヤメの花弁には基部に黄色地の網目模様があり、
このことから「綾目:あやめ」という和名が付けられたようです。
また、葉の形が剣に似ており、揃って並ぶことから
「文目」・・・(筋道が整っている様)とも言います。
アヤメ科の花で、花弁基部に網目模様があるのはアヤメだけで、
カキツバタやハナショウブにはそれがありません。
また、アヤメの花は紫色で、他の色はありません。
ワープロで漢字変換すると、アヤメは菖蒲となってしまい
「綾目」や「文目」にはなりません。
ややこしいですが、アヤメはショウブではないのに菖蒲であり、
どうも花菖蒲と混同されてきたようです。
◆カキツバタの特徴
カキツバタは湿地など水辺に生えるアヤメ科の多年草で、
アヤメより花が大きく
花弁の基部から先端にかけて白色から淡黄色の斑紋がありますが、
網目模様はありません。
花色は紫か青紫で、アヤメより丸みを帯びた幅広の花弁が特徴です。
アヤメとの決定的な違いは、湿地に生えていることです。
◆ハナショウブの特徴
ハナショウブも湿地など湿った場所を好む性質があるため、
カキツバタと混同されやすいのですが、
カキツバタより花が大きく、花色が豊富です。
紫や青、白、絞り模様など様々です。
黄色のハナショウブもよく見かけますが、
これは「キショウブ」と言って別種のようです。
ハナショウブの花弁は縁が波打っていることが多く、一見派手に見えます。
アヤメやカキツバタとの決定的な違いは葉にあります。
ハナショウブの葉は、アヤメやカキツバタのように薄っぺらな葉ではなく、
中心部が盛り上がった、やや厚みのある葉です。
この他、ハナショウブには湿地帯から草原まで幅広い環境に適応している
「ノハナショウブ」漢字では「野花菖蒲」もあって、さらにややこしくなります。
ノハナショウブはハナショウブの原種と言われており、
花の大きさはハナショウブよりやや小型です。
◆◆どうです?
アヤメとカキツバタ、
さらにはハナショウブなど違いがお分かりいただけたでしょうか?
普段何気なく見かけるアヤメ科の花にも、いろいろあって面白いものですね。
シャガやイチハツ、ジャーマンアイリスなどについては、
紙幅の都合もあって記しませんが、
調べてみると新しい発見があるかもしれません。
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木曽にちなんだ植物和名
◇◇木曽にちなんだ植物和名◇◇
植物の和名には面白いものがたくさんあります。
発見者の名前をつけたもの、姿や形などから見立てたもの、
自生地の地名をつけたものなど様々です。
特に、自生地の地名にちなんだ和名は、その植物の生態を知る上で
とても参考になります。
そこで、今回は木曽にちなんだ植物和名を紹介しましょう。
◆オンタデ(御蓼)
イタドリなどと同じタデ科の多年草で、中部地方以北の高山帯に
多く自生し、雌雄異株で地味な花が咲きます。
名前は、木曽の御岳山で最初に発見されたことによる。
◆オンタケブシ(御岳付子)〈正式和名は、タカネトリカブト〉
毒草で知られるトリカブトの仲間で、御岳山や木曽駒ケ岳に
多く見られます。トリカブトはブシ(付子)とも呼ばれますが、
これは、トリカブトの根から毒素を減じて作られる漢方薬の「付子」
からつけられた名前です。
◆キソエビネ(木曽海老根)
ラン科の多年草エビネは、根の部分にある偽球茎(球根のようなもの)
が連なって海老のように見えることからこの名前があります。
エビネは全国に色々な種類があり、産地にちなんだ名前が多く
見られます。キソエビネは最初に木曽で発見されたことによります。
四国や伊豆地方の深山にも生えますが、自生数はきわめて少なく、
また栽培も他のエビネに比べ非常に困難です。
◆キソチドリ(木曽千鳥)
深山から亜高山帯にかけての湿り気の多い日陰に生えるラン科の多年草で、
淡緑色の小さな花をまばらに付けます。
花の形が千鳥に似ていて、木曽で最初に発見されたことによりこの名が
あります。草丈は20cmほどで茎も細く、全体にあまり目立ちません。
葉が細いホソバノキソチドリや、葉がやや長いナガバノキソチドリもあります。
どれも地味で小さなな花ですが、よく見るとラン特有の花形をしています。
◆オシャクジデンダ(御社貢寺連朶)
シダの仲間で、栃ノ木などの樹上に生えます。
一説によると、木曽の社貢寺で発見されたとありますが、木曽には社貢寺
などという寺は無い。ただ、木曽福島町にはそれらしき地名があることから、
そこで発見されたのかもしれません。
なお、デンダ(連朶)というはシダの古名です。
オシャクジデンダは木曽地方で普通に見られます。
◆ミソガワソウ(味噌川草)
シソ科の多年草で、深山の沢筋や高山の雪渓脇などに生えます。
木曽川の支流、味噌川で発見されたのでこの名前がつけられたとされています。
数年前、木祖村自然同好会によって、味噌川上流での自生が再確認されました。
長野県内では北アルプスや八ヶ岳などの山麓に多く見られ、時に群生します。
ミソガワソウによく似たラショウモンカズラやジャコウソウも味噌川周辺では
たくさん見かけます。
◆◆野山を歩いていると、色々な植物を目にしますが、一つひとつの植物には
ちゃんと名前がつけられていて感心します。先人たちの観察力にはただゞ驚く
ばかりですね。木曽は植物の宝庫ですから、足元を注意して歩いていれば
もしかして新しい発見があるかもしれませんね!
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コマクサの不思議な生態 その2
◇◇コマクサの不思議な生態 その2◇◇
高山植物は寒さに強いだろうと思われているかもしれませんが、
はたしてどうでしょうか?
◆高山植物とは?
高山植物の定義として明確なものはありません。高山に生えて
いれば高山植物と言えるのでしょうが、本州の日本アルプスに
自生している「ハクサンチドリ」や「ミヤマオダマキ」などは、
北海道の北部へ行くと海抜0メートル地帯で普通に見られます。
◆意外にも"寒がり"な高山植物
ご存知のとおり、高山植物が生えている場所は年間平均気温が
平地に比べてかなり低く、逆に言えば、そういう条件でなければ
高山植物は育たない訳ですが、重要なのは夏の生育期に気温が低い
ということであって、厳冬期に気温や地温が低すぎると、高山植物
とはいえ生育は非常に困難になります。
◆高山は冬暖かい?
高山帯では、早い年で9月下旬に初冠雪を迎えます。根雪に
なるのはもう少し後になりますが、いずれにしても低地に比べ
ると、秋から一足飛びで冬を迎えることになります。
つまり、低地のように「空凍み」の時期が短く、いきなり
雪に覆われてしまうため、低温の厳しい外気にさらされることなく、
言わば自然の温室に守られると言う訳なんです。
しかも、周りは雪ですから、湿度100パーセントの安定した
環境が保たれて休眠できます。
◆コマクサの種子
コマクサの種子は直径が約 0.5 mmで、艶のある黒い色を
しています。種子を結ぶための受粉(交配)を媒介するのは
「ウスバキチョウ」という高山蝶です。
ところが、低地ではウスバキチョウはいません。それでも
コマクサは自花受粉という手段で、ちゃんと結実します。
コマクサの種子は素手で触ると極端に発芽率が低下します。
なぜでしょうか?
◆コマクサは、やはり孤高の花か?
夏の高温に弱く、冬の低温にも弱く、神経質で虚弱体質の
ようなコマクサ。ほかの植物との混生を嫌い、仲間とも淘汰
し合うコマクサ。
それ故に、この花の気品が人々の心を惹きつけるのでしょうか。
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コマクサの不思議な生態 その1
◇◇コマクサの不思議な生態◇◇
「高山植物の女王」と呼ばれるコマクサは良く知られていますが、
このコマクサには不思議なことがたくさんあります。
長年趣味で栽培していて気が付いたことを挙げてみましょう。
◆自生地は
3000メートル級の高山であることはご存知のとおりですが、
コマクサは、他の植物が生えないような礫地(ガレ場)を好んで生息します。
そこは水分や栄養分が豊富といえるような場所ではなく、
一般的な植物の生育にとっては厳しすぎる環境と言えます。
コマクサは「孤高の花」なのか?・・・
◆コマクサ同士の仲間喧嘩
コマクサは、他の植物と一緒に生えることを極度に嫌います。
なぜそうなのかは分かりませんが、趣味栽培では低地であることが
ほとんどですので、鉢の中にはありとあらゆる雑草が生えます。
すると、コマクサはうまく育ってくれません。
しかも、コマクサ同士が一緒に生えていても同様で、互いに淘汰し合います。
要するに、仲間喧嘩して強いものだけが残ります。雑草は強健ですから
コマクサに負けるはずはありません。
◆用土(礫)が動く
コマクサの自生地であるガレ場では、
根を張れる用土は表面の礫からずいぶん下の方にあり、
しかも大雨や雪崩などで礫は移動するような過酷な条件です。
普通の植物はそんな場所では生育できないばかりか、
仮に種子が入り込んでも発芽すらできないのであります。
◆コマクサの根
コマクサの根は見かけによらず非常に長く、40〜50cmにもなります。
この長い根で礫の下の用土をしっかり掴み生きています。
さらに、
礫が動くことをあらかじめ想定しているかのような面白い現象を見せます。
それは、礫が動いて根が切れると、
それが刺激となって新たに新芽を形成することです。
◆狂い咲き
コマクサが咲くのは、自生地で7月中旬ころです。低地で栽培して
いるものは、それより1ヶ月も早く咲きます。
ところが、今まで述べたコマクサの生態を逆に利用して、秋に
コマクサを咲かせることができます。いわば「狂い咲き」なので
ありますが、開花時期をずらすのではなく、二度咲きが可能になります。
私が経験した二度咲きで、最も遅く開花したものは11月でした。
◆◆「狂い咲き」を意図的にやることは、何の意味も無いと思われる
かもしれませんが、稀に自生地ではコマクサが秋に咲いている
のを目撃することがあります。高山植物の中でも、とりわけ厳しい
条件を好むコマクサ・・・何となく哀愁を感じませんか?
高山植物は寒さに強いと思っている人は多いと思いますが、
コマクサは意外にも「寒がり」で、厳しい凍結は禁忌なんです。
栽培するときの失敗例は凍結です。・・・えっ!何で
つづく
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カタクリの不思議
◇◆カタクリの不思議◆◇
早春の花の代表格は何と言ってもカタクリですよね。
古くは、
傾籠(かたかご)とか堅香子(かたかご)などと呼ばれていたようですが、
どうして片栗(かたくり)になったのでしょうか?
カタクリの根っこ(鱗茎)には良質のデンプンが含まれており、
これがいわゆる「片栗粉」なのでありますが、
皆さんはカタクリから摂った片栗粉を食べたことがありますか?
現在市販されている片栗粉は、ほとんど全部が馬鈴薯(ジャガイモ)
のデンプンなのであります。
昔は食用にされるほどカタクリが生えていたのでしょうか。
◆自生地が移動する?
木曽谷北部のK村には、数ヶ所の群落があります。
そのうち、村中心部のM山の麓に、一目数万株という大群落がありますが、
不思議なことに毎年少しずつ北側へ移動しているのです。
増殖して広がるのではなく、
群落の南端・北端ともに北側へ移動しているように見えます。
一体どういうことなのでしょうか?
(私の観察では、ここ10年で50mも移動しました)
周囲の樹木による日照条件か、あるいは温暖化による防衛策なのか
とても興味深いものがあります。
◆カタクリの根っこは深い
カタクリを試験的に鉢栽培してみました。
地上部がすべて無くなる初夏〜夏、8号の深い植木鉢に根っこ(鱗茎)
をひとつ、表土からごく浅い部分に埋めて、その年はやり過ごします。
翌年の早春にちゃんと開花しましたので、花が終わり葉っぱが枯れて
夏眠(カタクリは夏の間、地上部は無く鱗茎だけで過ごす)の頃、
鉢をひっくり返してみたら、あら不思議・・・
鱗茎は鉢底のネットにまで達していました。一体どうやって潜り込んだ
のでしょうか?
一般的に、植物の根っこ(特に球根)が地表に露出するしくみは
容易に想像がつきますが、反対に潜り込む現象はどう説明すれば良い
のでしょうか?
地中の深い部分に新たな鱗茎が形成されたとしか思えませんよね。
自生地での鱗茎の深さは、20cm〜30cmもあります。
◆カタクリの種子
カタクリも他の植物同様に花後には結実して、種子は地表にこぼれる
ように落ちてしまいます。一説によると、種子にはアリが好む甘味成分
が含まれていて、アリはせっせと巣穴に運び込むんだそうです。
巣穴に運ばれた種子のうち、条件の揃った種子が発芽するとか・・・
ところが、実際に発芽した新芽を調べると、そんなに深いところから
発芽している訳ではありません。巣穴から発芽するとしても、比較的
浅い地中が好条件かもしれません。
ちなみに、カタクリは発芽から開花まで10年ちかくもかかるようです。
昔は片栗粉にするほどたくさんあったのでしょうか?今は貴重な植物として
手厚く保護されていますが、私たちも大切にしていきたいものです。
◆◆本当の片栗粉
そうは言っても、カタクリから作った本当の片栗粉を食べてみたいとは
思いませんか?もしかしたら究極の食材かも・・・
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オキナグサ
☆《やってみよう山野草》 オキナグサ
◇今回は年配の方にとっては、なつかしい「オキナグサ」です。
冒頭に申し上げますが、このコラム・・・「やってみよう山野草」は
木曽地方(標高700m以上)にお住まいの初心者を対象にしております。
中、上級者の方にも参考になるはずですので、ぜひ役立ててほしいものです。
栽培法は、私が実践で得たデータを元にしております。
◇オキナグサはキンポウゲ科の多年草で、日当たりの良い山野や川原に自生
しています。開花時の草丈は10cm〜15cmくらいで、
5月頃に茶紫色で鐘形の花をやや下向きに付けます。
草全体が絹毛でおおわれている様子を「翁」に見立てて、
この名前があるようです。
木曽地方では大桑村以北の南向き稜線直下の斜面や、ときに木曽川沿いの
川原で見かけます。
しかし最近、自生のオキナグサはすっかり少なくなりました。
木曽地方では「オッカブロ」と言ったほうが
年配の方には分かりやすいかもしれません。
◇苗の入手法
園芸店などで店頭に並びますが、ほとんどは外国からの輸入株です。
「洋種オキナグサ」と表示されていれば親切ですが、
単に「オキナグサ」とあるものは要注意です。
日本産と輸入物との決定的な違いは、花色にあります。
輸入種の花にはピンク、白、紫など比較的鮮やかな色のものが多く、
花も上を向いて咲きます。草丈もやや大きめです。
日本産のものは暗い茶紫色で、控えめに下を向いて咲きます。
山野草の愛好家は、
日本オキナグサの控えめな姿にぞっこん惚れてしまうのであります。
◇使用する鉢
6号以上の深い鉢を使います。鉢の材質は何でも構いません。
(プラスチックでもOK)
◇用土の種類
特に決まりはありませんが、中粒の硬質鹿沼土と小粒の赤玉土を等量配合し、
全体の2割程度の量の小粒軽石砂を混ぜれば良いでしょう。
2年に一度植え替えます。
◇置き場
春の芽出しから日向に置いて、直射日光によく当てます。
日光不足では花が咲きません。
真夏の間だけは半日陰に避難して、暑さから守ってやりましょう。
初秋から再び直射日光に当てて株を肥やします。
寒さには強いので、冬は庭の隅にでも置きましょう。
◇肥料のやりかた
たくさんの肥料は必要ありません。
春先の芽出し直後に薄い液体肥料を2〜3度と、
花後に園芸用の固形肥料を少し鉢の上に並べておく程度でいいでしょう。
◇水やり
比較的乾燥に強い方ですが、用土が乾ききらない程度に与えます。
夏は夜間に潅水するのが最も良く、日中の根腐れを予防できます。
◇その他
完熟の種(タンポポに似た綿毛状)ができたら、
すぐに蒔くと10日くらいで発芽します。
しばらく経ってから蒔いたものは極端に発芽率が低下します。
完熟種はタンポポのように風で飛んでいってしまいますから、
あらかじめネットなどで覆っておくと安心です。
発芽から2〜3年で開花株になります。
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ダイモンジソウ
☆《やってみよう山野草 》 初級編その2 ダイモンジソウ
前回の「シラネアオイ」は少し入手しずらいと思いますので、
今回は園芸店で良く売られている
「ダイモンジソウ」をとりあげてみましょう。
ちょうど今が花期でもありますし、比較的値段も手頃です。
◇大文字草はユキノシタ科の多年草で、
低山から亜高山帯の渓流沿いの岸壁などに自生しています。
野生の大文字草は地域による変化が著しく、
葉や花の形に個性があり面白いものです。
園芸店に出回っているものは、品種改良されたものがほとんどで、
赤花や桃花、緑花さらには大輪、八重咲き、奇形花など、
さまざまな大文字草がありますが、野生のものは白花で、
5枚の花弁がちょうど「大」の字に見えるところから
この名前が付けられたようです。
よく見かける「ユキノシタ」に似ていますが、
ユキノシタは春咲きなのに対して大文字草は秋咲きです。
◇苗(株)の入手法
この時期は一般の園芸店で売られていることが多いものです。
安いものでは300円ぐらいからあります。
葉や茎がよく肥えて、張りのあるものを求めましょう。
注意すべき点は、安いものほど丈夫な傾向があります。
値が高く、銘品と言われる株ほど育てにくいものです。
◇鉢の種類
ビニールポットから石付けまで、幅広い植え方が可能です。
◇使用する用土
鉢植えの場合小粒の赤玉土と、小粒の硬質鹿沼土を等量配合すればOK。
水はけの良くないプラ鉢やビニールポットの場合は、
さらに軽石の小粒を10〜20%くらい混ぜます。
石付けにすると風情が出て一層見栄えがします。
石付けの場合は市販の専用土(商品名:夢想)を使います。
◇植え方
根を良く広げて、あまり深植えしないようにします。
◇置き場所
春先から初夏までは、午前中木漏れ日の差すような明るい日陰。
夏は、日陰。 秋は春先と同様の置き場。
冬は直射日光の当たらない北向きの日陰で、風当たりを避けます。
分かりやすく言うと、落葉樹の庭木(ツツジ、モミジ等)の下で、
午後日陰になるような場所に置き、冬は落ち葉をかければOKなのです。
◇肥料
ほとんど必要ありませんが、春先に薄い液体肥料を2〜3回やるだけ。
◇潅水
水分を好みますので用土を乾かさないようにしますが、
あまり多湿過ぎると軟腐病になりますから、
用土が乾き過ぎない程度に水やりします。
◇最後に
大文字草は世話好きで良く手をかける人ほど失敗します。
庭木の下に置きっぱなしで、「忘れていたらいつしか花が咲いていた。」
なんてことが多々あるものです。
ただ、毛虫に食べられてしまって全滅なんてこともありますから、
時々は見回ったほうが良いのかも・・・・・
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シラネアオイ
☆ 《 やってみよう山野草 》 初級編その1 シラネアオイ
◇山野草は決して難しくありません。種類にもよりますが、特に木曽地方は
栽培に適した気候であり、それだけを見ても都会のベテラン栽培家をしの
ぐほどの条件が保証されているのです。
◇今回紹介するのは、キンポウゲ科の「シラネアオイ」です。
山野草を栽培している方なら、たいていご存知かと思いますが、
ほとんどの栽培指導書には、中級〜上級向きと書かれているはずです。
でも、今回は初級編なのに何故?とお思いかもしれませんね。・・・・・
前にも書きましたが、木曽なら初心者でも栽培が可能です。
木曽といっても標高が500m以下のところでは上級編の部類になってしまい
ます。あしからず・・・。
◇「シラネアオイ」は、1属1種の日本特産種であり、薄紫で大輪の花は誰
でも好きになるほどの魅力ある山野草です。
真夏にエアコンがなければ過ごせないような地域では「難物」とされ、
いわば高嶺の花なんですが、木曽なら普通に育ちます。
(ただし、木曽地方での自生は確認されていません。)
◇苗(株)の入手は?
長野県内の大きな山野草店などで春先に店頭に並びます。
1株500円〜3,000円くらい。
◇使う鉢は?
7号以上の深い鉢なら何でもOK。(プラ鉢でも可)
株の大きさで決めましょう。(株が小さくても7号以上で)
◇用土は?
鉢底に大きめのゴロ石を敷いてから、用土を入れますが、
この用土でなければダメというようなことはありません。
小粒赤玉土7割と小粒軽石砂3割を混ぜ、全体量の2割程度の量の腐葉土
を加えます。(例)
◇植え方は?
あまり深植えせず、春先の新芽が隠れる程度に根をよく広げて植え付けま
す。(植付け後はたっぷり水をやります。)
◇置き場所は?
午前中だけ少し日が差すような、明るい日陰がベスト。
直射日光にはあまり当ててはいけません。
それと、風通しの良いところに置いて下さい。
◇肥料は?
花が散ってから、一般の固形肥料を鉢の上に数個置いておけばOK。
◇水やりは?
用土が乾燥しない程度に、時々潅水します。
(上からじゃんじゃん水をかけても大丈夫です。)
◇冬越しは?
寒さには強いけれど、カラッ風などには当てないように庭木の下などで落
ち葉をかけておけばOKです。雪が積もってしまえば安心です。
◇「ずくなし」には
庭木の下などの日陰に植えてしまえば、ほとんど手がかかりません。
年2回程度、株元に肥料をやれば比較的に良く増えますし、
花付きも良くなります。
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山野草の魅力
◇皆さんは『山野草』という言葉から何を連想しますか?
ひっそりと野に咲く小さな花・・・
あるいは登山道の脇に咲く高山植物でしょうか?
◇実のところ『山野草』には明確な定義がありません。
山や野に生えている草であれば、
みんな『山野草』といってもいいような気がしますが、
「ヒマワリ」や「コスモス」は通常『山野草』とは言いません。
それに、庭先や土手などに普通に見られる「タンポポ」や「ハコベ」、
「カタバミ」なども論外です。
うーん きれいな花なんだけどなー・・・・・
◇一般的には、背丈(草丈)が比較的小さく、
花や葉が鑑賞できるような草であることと、
やたらその辺にたくさん生えているような雑草のたぐいは
除外されているのです。
もちろんこれは趣味家の勝手な分類であり、自己満足にすぎません。
◇私個人としては、どんな草であれ、
鉢や花壇などで作り込んで育てたものならば
『山野草』と思っているのですが、
それでもやっぱり「マリーゴールド」や「サルビア」を
『山野草』と呼ぶことには抵抗を感じるなー???(洋物だからかなー?)
◇不思議なことに、「サツキ」や「ツツジ」などの"木"は
『山野草』とは呼ばないのに、同じ"木"の仲間でありながら、
「姫ウツギ」や「ヤシャビシャク」は立派な『山野草』なのだ。
これは一体どういうことか?
◇結局のところ、誰が決めた訳でもなく、
ただ何となく『山野草』なのかも・・・・・
◇『野の花は野にあって美しいもの』鉢に入れるなんてもってのほか
『山野草』を正当化するつもりはありませんが、
たとえば風景画を鑑賞したとき、
実際の景色より風情を感じることありませんか?
こじつければ、『山野草』の魅力は創造の世界かもしれません。
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